ステクニカルマネージャー ミシェル・ナンダン インタビュー
ミシェル・ナンダン
モナコ出身 1958年生まれ 48歳
職種: テクニカルマネージャー
WRCでは、過去2チームに在籍。最初はトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)。セリカST185が開発され、それに続いてST205が登場した時代だった。この両マシンは、WRCで合わせて17勝を挙げた。ナンダンは、コンセプトの段階でカローラWRCの開発にも関わったのち、プジョーへ移籍。最初に206WRC、そして307WRCの開発に携わった。206WRCと307WRCは、合計で27勝を挙げている。
スズキのチームに参加した経緯を教えてください。
私はプジョーで206と307のプロジェクト責任者だった。そこで何があったかはよく知ってるんじゃないかな? プジョーはWRC不参加を決定した。そして2005年に私は田嶋さんと会った。それが今、ここにいる理由だよ。
スズキについてはどんなイメージを持っていましたか?
もちろんスズキのことは昔からよく知っていたよ。最初に乗ったバイクがスズキのモトクロスバイクRM125だし、そのほかにもGT380にも乗っていたことがある。とてもいい排気音だったよ。今はスズキの水冷3気筒750ccを探しているんだ。
SX4 WRCの第一印象は?
田嶋さんから連絡があった時に、私からリクエストしたのは、まずはその車に興味が持てるかどうか、実際に車を見せてもらうことだった。今私がここにいるということは……その時どういう印象を持ったかは想像できるだろう。例えば、SX4のディメンションがとても興味深いね。コンパクトな点もラリーカーとして悪くない。私はコンパクトなラリーカーに関しては、これまで様々ないい経験を積んできた。たしかに弱点もあるけれど、それを上回る良い点があるね。なにしろコンパクトなのは良いことだ。
SX4の持つ有利な点は?

SX4のアドバンテージについていろいろ言ったところで、他チームのマシンにだって別のアドバンテージがあるからね。でもひとついえるとしたらディメンションかな。これはいい。それからコンストラクション、マシンの基本骨格が良くできていることも有利な点だね。サスペンションも悪くない。WRCのレギュレーションの範囲でいろいろなことができるからね。とは言っても他のチームも同じくレギュレーションに合わせて様々な改造をするわけだから、マシンのパフォーマンス的には各車でそれほど差は出ないんだ。
もうひとつ考えなきゃいけないのがエンジンだ。ベースエンジンには大いに変更が入ると思うけど、組み立てや基本的なデザインから見てもWRCカーに向いているんじゃないかな。
逆に不利な点は?
背が高いね。でもそれは弱点というわけではない。ラリーはレースとは違っていろいろ工夫の余地が十分にあるから、そういう意味ではとても良い車だと思うよ。
どのように競争力をつけていく?
もちろんマシンをコンペティティブな(競争力のある)ものにする必要があるが、まずはパワーと信頼性を確保することに集中しなければならない。昨今のラリーはちょっとスプリントレースのようになっているけど、最近のルール変更で、個々のパーツを長く使わなければならないなど、ラリー本来の姿に戻ってきている。つまり、耐久性が重要になってきたんだ。そのうえで、マシンのサイズや各種パーツ、サスペンションなどいろいろなものがマシンのパフォーマンスアップにつながるんだ。あとは(スズキスポーツの)渡辺さんが良いエンジンを仕上げてくれれば、間違いなく勝てるマシンができるよ(笑)。
これからの見通しを教えてください。
3、4年後に目指すべき目標に到達、っていうところだろう。まずは開発をきちんと行って、それからじっくりマシンを作り上げていくわけだから、つまり、そうすぐにはできないということだ。ただ我々は2008年の参戦を見据えて、2007年にベストを尽くす。だから、いいドライバーさえみつかれば、2008年には、ある程度マシンのポテンシャルを見せることができると思う。その後、2009年以降はチャンピオンシップを競えるんじゃないかな。
まずは10月のフランスラリーにテスト参戦の予定ですが。
今年のイベントはテストイベントだ。1位や2位になろうとか、特別なあるいは馬鹿げたことを目指す必要は全くなく、あくまで現場でのテストだね。つまり我々は、ラリーに参加するというよりは、テストを行ってできるだけ多くの情報を得ることが大事なんだ。ただ、ラリードライバーに、純粋にテストの走りをしろっていうのも難しいだろうけど。
とにかく2007年のラリーについては、チームに無用なプレッシャーをかけるつもりはない。目的はあくまでテストだからね。テストに集中して、2008年の準備をすることが大事だ。
ファンへのメッセージをお願いします。

今年は全員ができる限りの仕事をして、もちろん我々もベストな開発をして、(本格参戦の)2008年には、戦えるマシンに仕上がったSX4をファンの人たちに見てもらいたいね。



